フッ素樹脂コーティング、セラミックコーティングなどの表面処理

フッ素樹脂コーティング

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 フッ素樹脂コーティングとは

フッ素樹脂コーティング(テフロンコーティング)は、フッ素樹脂を金属などの基材にコーティングすることにより、離型性・非粘着性・耐薬品性・耐食性・低摩擦性・滑り性など、様々な機能をもたせることができます。
 

▼フッ素樹脂の種類などについて、詳しくはこちらをご覧ください▼
 
 

 フッ素樹脂コーティングの特長

  • 非粘着性、撥水性、離形性

フッ素樹脂コーティングの表面は水や油を弾くため、汚れが付きにくい特性があります。
ほとんどの物質が固着しないため、汚れの付着を防ぐ効果も高く、洗浄の手間が省けます。これにより、洗浄時間の短縮が図れるだけでなく、洗浄に必要な水や洗剤、溶剤の使用量を減らすことができ、製造コストの大幅な削減にもつながります。
 

種類 水の接触角(度) 接着エネルギー(dyn/cm)
PTFE 114 43.1
PFA  105~110
52.7~72.7
 FEP 105~115
42~72.7
ETFE  77~88  75.2~97.7

離形性画像

 
▼非粘着性に関して詳しくはこちら▼
 
 

  • 低摩擦性、すべり性、潤滑性

フッ素樹脂コーティングは摩擦係数が低く摺動しやすいため、スティックスリップ(接触面が固着と摺動を繰り返す現象)が発生しません。
そのため、高加重で低速の動作が求められる場面や、汚染を避けたい場所にも適しています。摩擦抵抗が少ないことで、製品の搬送中に傷がつきにくく、滑りにくい製品でもスムーズに運ぶことが可能です。
 

種類 静摩擦係数 動摩擦係数
PTFE 0.08~0.12 0.04~0.08
PFA 0.08~0.12 0.04~0.08
FEP 0.08~0.14 0.05~0.10
 ETFE 0.23~0.29  0.21~0.23
 ECTFE 0.38~0.42  0.31~0.36

シューター

 
▼低摩擦性に関して詳しくはこちら▼
 
 

  • 耐薬品性、耐食性

フッ素樹脂は、ほとんどの薬液に対して優れた耐溶解性を持っています。
フッ素樹脂コーティングには、PTFE、ETFE、PFAなど様々な種類がありますが、その中でも使用する薬液や環境に適した耐薬品性を持つものを選定する必要があります。さらに、耐薬品性を確保するためには、塗膜の膜厚を0.3mm〜1mm程度にし、ピンホールがないようにすることが重要です。
 

<基材の設計に関して>

基材に厚膜のフッ素樹脂塗膜を付与するためには、基材の設計段階でさまざまな配慮が必要です。特に、コーナー部のR(アール)形状や接合部の溶接加工の状態によって、膜厚にばらつきが生じる可能性があるため、設計段階からの十分な打ち合わせが重要となります。

耐薬品性コーティング画像

 
薬品の種類 PFA ETFE
硫酸20%
A A
硫酸98% A B
硝酸20% A A
硝酸70% A B
塩酸35%  A A
過酸化水素水90%
A A
クロム酸50% A A
次亜塩素酸ナトリウム A A
フッ化水素酸48% A B
オゾン A A
アンモニア A A
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  • 帯電防止

通常のフッ素樹脂コーティングは、優れた絶縁性を持っているため、静電気が発生しやすい性質があります。
このため、摩擦や接触によって帯電しやすく、場合によっては塵や埃が付着しやすくなることがあります。特に電子機器や精密機器、クリーンルームなど静電気の発生が問題となる環境では、帯電防止対策が必要不可欠です。
 
帯電防止仕様のフッ素樹脂コーティングを施すことで、表面の電気抵抗値を10⁴Ωから10⁸Ωの範囲に抑え、静電気が溜まりにくいフッ素樹脂塗膜を実現できます。

帯電防止コーティング画像

 

静電気の種類
静電気が発生する条件は様々ですが、大まかに分類すると下記の4つに分けられます。
 
【摩耗帯電】
絶縁物と絶縁物、絶縁物と導体の物質が擦れたとき
(例)ホッパー、シュート、ガイドレール等
 
【接触帯電】
2つの物質が接触したとき
(例)搬送ハンド、吸着版、ウエハーチェック等
 
【剥離帯電】
接触している物を剥がしたとき
(例)FDPプレート、フィルム張り合わせプレート等
 
【流動帯電】
絶縁性液体や高抵抗粉体のパイプの中の流動
(例)粉体サイクロン、粉体ホッパー、粉体攪拌羽根、粉体搬送配管

  
 

 グレード一覧

グレード 非粘着性 低摩擦性 耐摩耗性 耐薬品性 帯電防止 標準膜厚 耐熱温度 材質
FCX-430 × 30 μm 150℃ PTFE
FCX-130 × × 30 μm 220℃  PTFE
FCX-830 × × 30 μm 260℃  PTFE
FCX-730 × × 40 μm 260℃  PTFE
FCX-565 ◎◎ × 50 μm 200℃  FEP
FCX-108 × 50 μm 260℃ PFA
FCX-015 × 50 μm 260℃ PTFE/PFA
FCX-030 × 50 μm 260℃ PTFE/PFA
FCXD-307 × 30 μm 450℃ SiO²
FCXD-010F × 30 μm 300℃ SiO²/PTFE
FCXD-020C ◎◎ × 30 μm 300℃ SiO²/PTFE
FCX-130D × 30 μm 220℃ PTFE
FCX-372 60 μm 260℃ PFA
FCX-379 400 μm 260℃ PFA
FCXD-065 30 μm 450℃ SiO²
FCX-203 × 400 μm 180℃ ETFE
FCX-013 × 400 μm 260℃ PFA
FCX-393 × 400 μm 260℃ PFA
FCX-039 × 500 μm 260℃ PFA
FCX-107 ◎◎ × 100 μm 230℃ 特殊

※上記グレード以外にも多数グレードがあります。