フッ素樹脂コーティングの低摩擦性

〇「低摩擦性」について

物体と物体が触れ合っているとき、それぞれに摩擦力という力が働きます。イメージしやすい言葉で説明するならば、「すべる」「すべらない」という表現が多く使われているのではないでしょうか。
ここで、すべりやすさの指標として摩擦係数というものがあります。
一般的にこの数値が小さいものはすべりやすい、大きいものはすべりにくいとされており、静止しているものを動かす際に生じる摩擦係数を「静摩擦係数」、動いているものを動かす際に生じる摩擦係数を「動摩擦係数」と呼びます。
フッ素樹脂コーティング(テフロンコーティング)を施したものの摩擦係数は、静摩擦係数・動摩擦係数ともに非常に小さいので、低摩擦性に優れ、さらに潤滑油やグリスなどの潤滑剤などの使用を嫌う環境下でも使用することが可能です。
材質 静摩擦係数
PTFE 0.06
PFA 0.08
FEP 0.14

〇フッ素樹脂コーティングの「低摩擦性」

フッ素樹脂コーティング(テフロンコーティング)が持つ「低摩擦性」は大きくは分子構造に関係しています。
例えば一番基本的なPTFEでいうと、分子構造は図のようになっており、直鎖上で化学的に非常にきれいな配列をしています。
そのため表面の凹凸が少ないとされ、滑らかな表面をもち、低摩擦性に優れているとされています。
ptfe
また、さらに化学的な点から、C(炭素原子)とF(フッ素原子)の結合に関していえば、C(炭素原子)との結合する中ではトップクラスの結合エネルギーで結合しています。
そのため、相手材の分子と引き合う力(分子間力)が弱まり凝着しづらいのも低摩擦性に優れている理由の1つです。
ketugou

〇塗料グレード表

グレード表
 グレードNo. 非粘着性 低摩擦性 耐摩耗性 耐薬品性 帯電防止 膜厚 耐熱温度 材質
FCX-130 × × 30μm 220℃ PTFE
FCX-730
× × 40μm 260℃ PTFE
FCX-030H × 50μm 260℃ PFA