PFASとは
PFASには4,730種類以上があると報告されており、特に有名なのはペルフルオロオクタン酸(PFOA)とペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)の2つです。
PFASは、その優れた耐熱性や耐薬品性、撥水性、撥油性といった特性から、さまざまな分野で幅広く使用されています。代表的な用途には、フライパンや調理器具の表面コーティング、食品包装の油脂バリア、医療機器や電気電子部品の絶縁材料などが挙げられます。また、消火剤や防水加工のための繊維製品、建築材料にも含まれており、産業から日常生活に至るまで多岐にわたる製品に使用されています。
その耐久性と効果の持続性により、長期間にわたり信頼性の高い素材として重宝されていますが、一方で環境中に残留しやすく、人体や生態系に影響を及ぼす可能性も懸念されています。
PFAS規制について
現在、欧州では環境や生態系への悪影響を懸念し、PFASの生産や使用を廃止しようとする動きが進んでいます。欧州の化学物質管理に関する規則である「REACH規則」に基づき、規制が決定されれば、PFASの生産・使用・輸入が制限される見込みです。ドイツやオランダを含む欧州5か国は、PFASの包括的な制限を提案しており、早ければ2025年にもEU全体でPFASが規制される可能性があります。
PFAS規制の影響
今回の規制では、毒性や環境への悪影響がある低分子のフッ素化合物に加え、人体への影響が少ないとされている高分子のフッ素化合物も規制対象に含まれました。これにより、現在使用されているフッ素樹脂コーティングなども規制されるため、EU圏では自動車や半導体、化学、医療分野など多岐にわたる業界で使用が困難になります。この規制はEU域内に留まらず、世界の産業にも大きな影響を与える可能性があります。
PFAS代替品について
フッ素樹脂は、その独自の化学構造により、非粘着性、耐薬品性、耐熱性、電気絶縁性など多くの特性を兼ね備えており、これらを一つの材料で満たせる完全な代替品は存在しません。
そのため、フッ素樹脂コーティングの代替品を選定する際は、用途に応じて、個々の特性に特化した異なる素材を選んで活用する方法が有効です。
PFAS規制代替品一覧|(株)エフ・シー
コーティング名 | グレード | 非粘着性 | 低摩擦性 | 耐摩耗性 | 耐薬品性 | 帯電防止 | 標準膜厚 | 耐熱温度 | 材質 |
セラミックコーティング | FCXD-307 | ◎ | ◯ | ◎ | △ | × | 30μm | 450℃ | セラミック |
FCXD-065 | ◎ | ◯ | ◎ | △ | ◎ | 30μm | 450℃ | セラミック | |
FCX coat Antonym | Antonym-001 | ◎◎ | ◯ | ◯ | ◯ | × | 10μm | 250℃ | シリコーン |
Antonym-002 | ◎◎ | ◯ | ◯ | ◯ | × | 30μm | 250℃ | シリコーン | |
PEEKコーティング | FCXP-001 | △ | ◯ | ◎ | ◎ | × | 30μm | 260℃ | PEEK |
FCXP-001D | △ | ◯ | ◎ | ◎ | ◎ | 30μm | 260℃ | PEEK | |
PEKKコーティング | - | △ | ◯ | ◎ | ◎ | × | 300μm | 260℃ | PEKK |
PPSコーティング |
- | △ | ◯ | ◎ | ◎◎ | × | 300μm | 240℃ | PPS |
PAIコーティング | - | △ | ◎ | ◎ | ◯ | × | 30μm | 260℃ | PAI |