「非粘着性」とは
非粘着性とは、表面に付着した物質が容易に剥がれる性質のことを指します。
アルミやステンレスなどの金属素材は強度や耐久性に優れていますが、そのままでは表面が滑らかであるにもかかわらず、非粘着性を持ちません。そのため、粘着性のある物質が付着しやすく、剥がれにくいという課題があります。
そこで、金属表面にフッ素樹脂コーティングを施すことにより、金属に非粘着性を持たせることが可能になります。
フッ素樹脂コーティングは清掃の手間が軽減されるだけでなく、製品の品質や生産効率も向上します。たとえば、食品加工用の焼き型や成形金型に施工することで、素材の離型が容易になり、作業のスムーズさが大幅に改善されます。
なぜくっつかない?フッ素樹脂が持つ「非粘着性」に関わる3つの特徴
①化学的に安定している | フッ素樹脂はほとんどの薬品・薬液に溶解しないことで知られています。これはフッ素樹脂の分子構造に関係していて、代表的なものとして、PFAやPTFEなどがありますが、それらは主に炭素原子とフッ素原子の結びつきで構成されており、比較的その炭素原子とフッ素原子の結びつきは強いです。それによりほとんどの物質と化学的に結合することがなく、「化学的に安定している」といえます。 |
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②水や油などをはじく性質 | フッ素樹脂コーティングは、多くの物質に対してはじく性質をもっています。一般的には水をはじく、油をはじく、撥水性・撥油性と言われる性質です。これはその物質がもつ表面張力などに関係しており、フッ素樹脂コーティング(テフロンコーティング)を施したものは基本的に表面張力が低いです。逆に水や油は表面張力が高く、この差が大きいものほどよくはじきます。 |
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③なじみにくい性質 | 簡単な例をあげると、水と油を混ぜ合わせても、混ざり合わずなじみません。これと同様に、PFAやPTFEなどのフッ素樹脂はほとんどの物質と混ざり合いにくく、なじみにくい性質を持っています。 このなじみにくさを数値化したもののひとつで、SP値というものがあります。それぞれの物質がそのSP値というものをもっており、その値同士の差が大きいほど、なじみにくいという指標となります。 そこで、フッ素樹脂のもつSP値がほかの物質にくらべ低いことから、ほとんどの物質となじみにくいということとなります。 |
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グレード表
グレードNo. | 非粘着性 | 低摩擦性 | 耐摩耗性 | 耐薬品性 | 帯電防止 | 膜厚 | 耐熱温度 | 材質 |
FCX-730 | ◎ | ◎ | ◎ | × | × | 40μm | 260℃ | PTFE |
FCX-108 |
◎ | 〇 | 〇 | 〇 | × | 50μm | 260℃ | PFA |
FCX-565 | ◎◎ | 〇 | △ | 〇 | × | 50μm | 200℃ | FEP |